2024/03/11 17:27

にゃー (人間語・日本語訳 2024ねん3がつ11にち 25ふん 今日ははやめにおきたのではやめにさんぽ。 とちゅうで、けいさつっぽいひとがたっているおおきなたてものがあった。 にゃーは、警棒らしきものを持っている警察らしき人に話しかけた。 しんねこ「にゃー?(訳 あの、ここはどういう施設なのですか?)」 警察らしき人「こちらは、機動隊の宿舎になります。」 どうやら、この人は、猫語を理解する人らしかった。 そして、警察の人ではなく、機動隊の人らしかった。 しんねこ「にゃ?(訳 なるほどですね。ここに機動隊の方が泊まっていると。あなたも機動隊員なのですか?」 機動隊員らしき人「そうです。」 しんねこ「にゃ?(訳 ここでこうやって立っているのは、そういう役割がずっとあるんですか?それとも交代制なのですか?)」 機動隊員らしき人「まあ、そうですね。他のところに行ったりもしますよ。」 にゃーは、その、屹立として立つ彼の姿に何かの美しさを感じて、もう少し話したいと思ってしまった。だから、迷惑ながら、質問を無理やり探して、質問をしてみた。

しんねこ「にゃにゃ?(訳 さっきから横を、機動隊員らしき人たちが私服で出入りしていますが、これ、違う人が出入りできませんか?たとえば僕がこっそりはいっちゃったり…危なくないですか?」 機動隊員らしき人「いえ、そういうことはないです。顔は全部覚えているので。それにXXX(自主規制)」 しんねこ「にゃあん。(訳 なるほどですね。おつかれさまです。お時間取らせてしまってすみません。がんばってください。)」 機動隊員らしき人「いえ、では。」 それから、にゃーはさんぽをつづけた。 そして、さんぽをしながら、ふと、ある友だちのことを考えた。 彼の名前を仮にGとする。 彼は、今はとあるセキリュティ会社で勤務しているが、元々は自衛隊にいた。にゃーのX(Twitter)を見て(フォローするにゃ!→https://twitter.com/sindenekoninaru) 「部下になりたいです!」 と申し込んできた男だった。 ガチガチのガッチガチ、おそろしいほどに大きな体格とイカつい顔。 面談のテーブルに着くのが、にゃーは怖かった。

『寄生獣』岩明均 https://www.amazon.co.jp/gp/search?ie=UTF8&tag=heavensgate09-22&linkCode=ur2&linkId=2a6023044a69481e90b2c85be04d387a&camp=247&creative=1211&index=books&keywords=寄生獣 岩明均 彼から、自衛隊に勤務していた時の話を聞いたことがある。 高くない給与、過酷な訓練、具体的な話は控えるが、にゃーなら1日で逃げ出してしまうような、すさまじい訓練だった。 しかし、彼が勤務していた時は、たしか憲法9条だか自衛隊のなんちゃらで世論が盛り上がっていた時だった。 世間には、彼ら自衛隊というものの存在自体に批判的な人たちが、少なからずいた。 訓練時や、歩行時も、そういった自衛隊を批判する人たちに罵声を浴びせられたり、石を投げつけられることがあったそうだ。 よくそれで続けられたな、お前。 にゃーは、そう聞いたことがある。(もちろん、猫語で。) 彼はこう答えた。

自分は言われたんです。その時の上官に言われたんです。えーと、たしか、何代目かの総理大臣が言った言葉を引用してこう言ったんです。 「俺たち自衛隊は、そして警察や消防は、批判されているくらいがちょうどいいんだと。税金泥棒だと言われている方が、いいんだと。 つまりは、日本に有事、戦争や喧嘩、家事、災害、そういったものがあると、俺たちの出番になり、拍手喝采となる。しかし、それは逆に、日本が不幸になっている。 だから、日本に何も起きず、俺たちが認められず、税金泥棒と批判されているのが、いちばんいいんだ。だから、お前たちも、それを胸に、がんばってくれ。」 僕は、そうだなと思って、それを心に秘めて、努めました。 「そうか」 と僕はにゃー語で言った。 それと同時に、にゃーのことを憧れて部下にしてくれと来て、色々とこきつかっていたこの男のことを、尊敬の目で見るようになった。 この男は、にゃーより偉いかもしれないな。後悔と、謝罪と、そしてまた、同時に、そんな偉いこの男に慕われている自分が誇らしくなった(どうして彼がにゃーを慕うのかが、にゃーにはわからにゃいが。)

にゃーは、家にかえってから、その総理大臣が誰かを調べた。 「君たちは自衛隊在職中決して国民から感謝されたり、歓迎されたりすることなく自衛隊を終わるかも知れない。非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。ご苦労なことだと思う。 しかし、自衛隊が国民から歓迎されチヤホヤされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡のときとか、災害派遣のときとか、国民が困窮し国家が混乱に直面しているときだけなのだ。 言葉を換えれば、君たちが日陰者であるときのほうが、国民や日本は幸せなのだ。 どうか、耐えてもらいたい。自衛隊の将来は君たちの双肩にかかっている。しっかり頼むよ。」ーー吉田茂 さんぽの帰り道、にゃーは、またその機動隊員らしき人の前を通った。 その時、かすかに小雨が降っていた。 その機動隊員らしき人は、小雨もものともせず、まっすぐに前を向いて、立っていた。 にゃーは、めいわくにんげん、まちがえた、めいわくねこだから、またその機動隊員らしき人に話しかけた。 しんねこ「にゃにゃ!(訳 あ、あの。またすみません。いいですか?)」 機動隊員らしき人「はい、なんでしょうか。」

しんねこ「にゃ!にゃにゃにゃにゃ!にゃ!(訳 あの、えっと、ある総理大臣が言った言葉があるんです。警察や自衛隊、消防の人たちは、国民から感謝されない方がいいと。国民から感謝されているということは、つまり日本が危機に直面していることだと。僕は後輩に自衛隊員だった人間がいます。僕は彼を尊敬しています。そして今、こうして雨の中、まっすぐに立っている貴方を、尊敬しています。僕たちのために、ありがとうございます。」 機動隊員らしき人「……そんな総理大臣がいらっしゃったのですね。ともかく、ありがとうございます。」 小雨は増し、雨となった。 しかし、その機動隊員らしき人は、変わらず立っていた。 濡れた顔もふかずに、まっすぐ、まっすぐ、立っていた。 にゃーは、それが正しいのかもわからないが、敬礼をして、頭を下げて、帰った。 彼も、敬礼を返してくれた。

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